深い思考を促す公民の問い

 ICEモデルのEレベルに相当する問題の例を示します。
 公民科・現代社会の定番の内容として,事前に予告したうえで「愛」について出題しました。
愛について
 
※「愛」については,プラトンとイエス,エロスとアガペーなどが基本的内容ですが,生徒の身の回りから材料を見つけさせることが,思考を深めるために有意義です。高校オープンスクールの体験授業で「愛」と「恋」の違いについて考えさせたこともありました。

  次は,言動の問題点について問う問題です。「問題点」という価値判断を出題者の側で先にしていることや,「指摘せよ」と指示していることでCレベルになっていますが,問題文を変えたり,これらの言動がどんなことのメタファー(暗喩)であるかを考えさせるなどすればEレベルの問題にできるでしょう。
言動の問題点
  
※ここに述べていることを文面どおりにのみ受け取るか,世の中に見られるさまざまな言動との共通点を見いだそうとするかは,思考力にとどまらない「人間力」の差によるものかも知れませんね。
  最後は経済分野。政府の経済への介入について論じる問題です。意味を問うことで,ICEモデルのEレベルとしました。
政府の経済介入の意味
 
 ※「混合経済」とか「修正資本主義」という語句を答えさせるならIレベル,経済介入の例として「累進課税制度」や「失業保険」を挙げさせたり説明させたりするならCレベルでしょう。意味を論じるということは,メリットとデメリット双方に触れた上で,どちらを重視するかという自分の価値判断を述べることになります。