深い思考を促す教科横断の問い(特別活動×数学×総合)
学校の階段
日常生活や社会とのかかわりを重視した課題を扱い, 試験のための問いでなく「考える必然性を感じさせる問い」を投げかけたいものです。生徒にとって学校の階段はおそらく毎日使う身近な存在でしょう。会話文の形式をとり,学校の階段に注目して,問題が生じた文脈と問題を解く目的を記して,思考を促してみます。
まず,この作例は,長方形(直方体)の校舎が並行して建つ一般的な校舎配置を念頭においています。放射状や円形の校舎ならばまた異なる問い方が可能になるでしょう。
問い1では文章で書かせようとしていますが,まず図示させるか,途中までかいた図を完成させる方法もあるでしょう。図を完成させる問いならIレベルで,文章で表現させるならCレベルです。文章で書く場合,教室と廊下とでは廊下のほうが幅が狭いことを指摘して,水平距離と垂直距離の関係をもとに記せば解答になります。たとえば「廊下と教室とでは教室のほうが幅が広いので,廊下側から教室側に向けて階段を設置すれば,水平方向の距離がかせげるから」という解答が考えられます。生徒の頭の中をアクティブにするために,文章や図で表したうえで数学の授業で模型をつくらせてみるのもいいかもしれません。言葉で表現できても造形でつまずくようなことも,思考を深めるための大切なステップです。
問い2では,廊下側から教室側に向かって階段がある場合と,廊下側から教室とは反対側に階段が上っている場合とがあることに気付かせます。「廊下」「教室」「階段」という語を用いることによってそれらの関係を意識させ解答を誘導しています。教室とは反対側に階段が上っている場合は,校舎の外側に階段部分が張り出した形となっていて,単純な直方体ではないと考えられます。
問い3は,課題研究のテーマ例を考えさせるものです。学校生活の中で疑問を持ったことがらについて解決に向け探究することは,主体的な学びのかたちの例だといえます。学校の校舎に関しても,階段とエレベーターの位置関係,男女のトイレの配置,談話スペース,結露の発生しにくい構造など,さまざまなものが考えられるでしょう。法令や安全上の問題を踏まえ,交流も深められるような校舎を考えさせればEレベルの問いになります。
問い4の作例として,三角比を活用して思考させるパフォーマンス課題を紹介します。作成したのは数学の初任者の先生です。
学習指導案 授業プリント