深い思考を促す教科横断の問い(地理×公民×数学×情報)

空き家率の高い県はどこだ

 

 現代社会の課題を素材とすることは,考える必然性を意識させることになるので,深く思考させる教材として適当です。ここでは空き家の増加を素材にしました。

都道府県別空き家率から考える問題(前半)
都道府県別空き家率から考える問題(後半)
 空き家率の問題1~5

 まず,空き家の数と空き家率とでは,ランキングが異なることは当然です。この問いでは,空き家の数は問題にしていません。空き家の数で言えば住宅数の多い東京都が上位に来るのは容易に予想できますが,そのことにはわざと触れません。二次的住宅を含めた空き家率が最も高いのは山梨県で,問題文にもあるように,首都圏から短時間でアクセスできることにより別荘が多いためと考えられます。ネットニュースの見出しになったり,クイズ番組のネタになるのも山梨や静岡のような県です。しかしそこで終わればトリビアに過ぎません。現在のところ,より深刻な空き家問題を抱えるのは人口減少率の高い九州や四国の県であり,これを考えさせることが学習の中心となります。この作例では,問い2のアがIレベル,他はCレベルの問題です。将来的には,住宅数が多く膨大な高齢者を抱えることになる東京の空き家問題は深刻になる可能性がありますから,これについて考えさせれば,Eレベルの問いになります。