首都機能移転とか道州制が進まないのも,「東京一極集中の問題を理路整然と追求しているつもりの地方が,実は『自分が東京(=中心)になりたい』と思っている。」ことが透けて見えてしまうからだろう。「ライバルの地方都市が栄えるくらいなら,うちが東京と強く結びつくほうがまし」という具合である。また,生き残るために広域合併した自治体の中心部と周辺部の「格差」は,都会と地方の差に劣らない。中心と周辺の関係は複合的なものであり,地方の中心がさらに広範囲の中では周辺部になりうるわけだから,衰退を食い止めるためのダムの役割をする地方都市中心部に人口を集中させるという作戦が必ずうまくいくとは限らない。