3.金融と財政

(2)財政

b.財政制度と租税制度

 財政は,国家財政と地方財政に分けられる。下図の通りである。

国家財政
  一般会計(いわゆる「国の予算」)
  特別会計(郵政・国立学校など)
  財政投融資計画(一般会計の2分の1強の規模)
地方財政

現在の一般会計の内訳は
(歳入)租税がおよそ7割,公債金がおよそ3割である。
(歳出)社会保障費,地方財政費,国債費がそれぞれ2割ずつ。公共事業関係費が12%程度,防衛費が6%程度である。なお,公債金とは国債を発行して借り入れる資金のことで,国債費とは過去に借り入れた国債を償還する(=借金を返す)ための経費のことである。戦後はじめて国債が発行されたのは1965年のことであった。
 戦前は以下のような状況だった。なお,この種の統計資料において戦前とは,1934年から1936年の平均をいう。
(歳入)租税と公債金がほぼ同じ割合。つまり,借入金の割合は今以上に高かった。
(歳出)軍事費が45%で極端に多い。ついで国債費が17%程度。

租税の種類
 歳入の中心である租税は,下表のように分類できる。表に示してある税は主なものだけである。直接税とは,納税者と担税者が同じ税。間接税とは,納税者と担税者が異なる税である。この場合納税者とは,税を納める手続きをするものをいう。たとえば消費税を税務署に納める商店主がこれにあたる。消費税を実際に負担しているのは商品を購入した消費者だから,納税者と担税者が異なることになる。したがって消費税は間接税である。
 消費税などの間接税が一定の税率で課された場合,同じ商品を購入すれば高所得者も低所得者も同じ金額の税を負担することになる。金額が同じということは,税の負担の重さとしては,低所得者のほうが重い負担になることになる。このような傾向を「逆進性」という。いっぱんに,間接税は逆進性を持つ。消費税が導入される前にあった「物品税」「通行税」は,個別の商品に対してそれぞれ税率が決められていた。たとえば,鉄道であれば普通車は無税で,グリーン車は10%の通行税が課せられていた。この場合には,「グリーン車に乗る人は高所得者だから税負担力も大きい」ということになるが,現在の消費税は,普通車もグリーン車も同じように5%の税率で課せられている。(消費税導入のとき,グリーン車や航空運賃は値下げされた)。
 所得税は,個人事業主は自分で税を計算して自分で納めるが,給与所得者は,給与を支払う企業が計算して前もって所得税分を差し引いて給料を支給する。これを源泉徴収という。サラリーマンは自分で所得税を納めているという意識がないが,この場合は給与所得者が担税者でもあり納税者でもあると考るので,直接税である。
 下表で「国税・直接税」である所得税・法人税は金額的に非常に大きい税で,現在の日本の租税の中心である。これらの一部は「地方交付税交付金」として地方に分配されるが,これらの税が国税であることが,地方の立場を財政的に弱くしていることにもなっている。

国税 地方税
直接税 所得税,法人税,相続税 県・市・町民税,固定資産税
間接税 消費税,酒税,たばこ税 地方消費税,たばこ税

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